オイル漏れ修理
2021-12-17
【クラッチプッシュロッド部分】

クラッチプッシュロッド部分のオイル漏れはヤマハ車の弱点の一つです。
軽傷の場合はオイルシールの交換ですぐに直ります。


ただし、交換には多少のコツが必要ですのでご案内しておきます。
このオイルーシールは本来エンジンを割って入れるべきものです。

ですから、そのまま叩き込もうとすると、割れたり、変形してしまいます。
そうならないように多少の加工が必要となります。


まず最初に古いオイルシールを外します。
これはスクリュードライバーを入れて、少しこじれば簡単に外れます。


注意して見ると、ケース側シール挿入口が角張ってエッジが立っています。
そのまま新品を入れるとその部分に引っ掛かってしまうのです。


その結果ゴム部が割れたり、変形したりしてしまいます。
そうならないように、ケースの挿入口のエッジに多少Rを付けるように削って下さい。


最初は棒ヤスリで、その後ペーパーヤスリできれいに仕上げます。
あくまでもRを付ける程度です。テーパー状にしてはいけません。


この加工により、引っ掛かりなく圧入する事が可能になります。
シールのリップ部、スプリング部、外周にグリスを塗って入れてください。


クラッチプッシュロッドオイルシール¥800

【クラッチプッシュロッド部分 その2】


新品のオイルシールに交換後、またすぐに漏れてしまう事があります。
この原因はプッシュロッドにガタが出て、上下左右に動いてしまう為です。


修理方法はプッシュロッドとオイルシール奥のブッシュの交換になります。
元のブッシュをドリルで削り取って新しいブッシュを挿入していただきます。


その後に新品のオイルシールとプッシュロッドを入れて完成です。
これでプッシュロッド縦横方向のガタがなくなり、オイル漏れが止まります。


すべての部品をそろえたオイル漏れ補修キットとして販売しています。
説明書付ですので安心して作業を進められます。


作業には電気ドリルと9.5mmのドリル歯が必要です。
クラッチプッシュロッドオイル漏れ補修キット 
TX650-2以降/XS650SP 1974-84 ¥3,900
XS-1/XS-1B/XS650E/TX650-1 1970-73 ¥4,200


【フロントスプロケット部分】


クラッチプッシュロッド部分と共に最もオイル漏れの多い個所です。
ここのオイル漏れの原因は、スプロケットナットの緩みの場合がほとんどです。


構造的にはシャフトがあり、そこにカラーが入りオイルシールが付いています。
カラーはシールされていますがシャフトはシールされていないんです。


シャフトとカラーの隙間はスプロケナットがスプロケを強く押す事により、
その隙間を無くしてオイル漏れを防いでいます。


スプロケをナットが強く押していないとスプロケとカラーの間の隙間から
オイルが漏れてしまう構造になっています。


この部分のオイル漏れはナットの増し締めのみで直ってしまう場合もあります。
もちろんオイルシールも交換した方がより完璧ですので、交換後スプロケとカラーが
ガッチリ密封するようにナットで押しつける事が最重要です。


交換の手順は、最初に36mmの大きなソケットレンチをご用意下さい。
36mmソケットとエアーインパクトがあれば完璧に緩めて締める事が出来ます。


言いかえれば、それが無いためにキッチリ締め込めず、オイル漏れが発生します。
エアーインパクトが無い場合は長めのハンドルを使用し、キッチリ締めこみます。


最初にオイルを抜くか量を減らしておきます。
そうしないとオイルが出てきて作業がやりにくくなってしまいます。


スプロケナットのロックワッシャーの曲がりを直し、ナットを緩めて外します。
エアーツールが無い場合はチェーンとスプロケの間にウエスを噛ませ、
スプロケを回らなくしてからナットを緩めます。


つぎにチェーンを外し、スプロケとカラーを外して、オイルシールを外します。
オイルシールはマイナスドライバーでこじればすぐに外すことが出来ます。


廻りを洗浄してから新しいオイルシールをケース面にツライチになるように
均等に打ちこみます。ここでカラー、スプロケット、ナットをきれいに洗浄してください。


カラーを観察して下さい。オイルシールのリップが当たる個所に筋が入っていませんか?
磨耗している場合はひっくり返して磨耗の無い向きで再使用します。


カラー挿入前にシールのリップ部とカラーの当たり面にグリースを塗って下さい。
次にスプロケですがよく洗浄してカラーとの当たり面に傷がないか確認します。


カラーを挿入後スプロケの当たる部分に液状ガスケットを薄く塗りスプロケを挿入します。
同じくワッシャーの当たり面の傷をチェックしてから新品のワッシャーを入れます。


確実性を高めるにはこの部分も液状がスケットを薄く塗るのも良いでしょう。
今度はナットの当たり面もチェックします。ちょっと出っ張っている部分が当たり面です。


キズやヘコミが無ければ再使用可能ですのでシャフト部とネジ部に液状ガスケットを
多めに塗って締めこみます。エアーインパクトが無い場合はチェーンを付けてから
ウエスを噛ませ本締めをしてください。


ここが全体で一番締めつけトルクが高い設定になっています。マニュアルには10k-12kとあります。
要するに四輪車のホイールナット並のトルクで締め上げなければならないとお考え下さい。


そしてゆるみ止めのロックワッシャーを曲げて終了です。
ばらす時にオイルの流れ出るルートを良く観察し、組む時にはそこから漏れてこないように
作業してあげれば良いわけです。

フロントスプロケットシャフトオイルシール  ¥2,200
フロントスプロケットロックワッシャー¥800


【ポイントハウジング・カムシャフト部分】


ポイントハウジング内カムシャフトからのオイル漏れも多く見うけます。
ポイント点火の場合は不調の原因になりますので早めに直しましょう。


メッキのポイントカバーを外して、その奥の(+)スクリュー3個を外すと、
ハウジングが外れます。そこにオイルシールが挿入されています。


ハウジングのガスケットとオイルシールを交換すればOKです。
フルトラ車なら簡単ですが、ポイント車の場合はガバナー、ポイントプレート、ポイントカム
を外さないとハウジングが外れません!


ちょっと面倒な作業ですが是非修理したい部分です。
ポイントハウジングオイルシール/ガスケットセット ¥3600


【セルモーター部分】


エンジン左下のオイル漏れで、プッシュロッド部分やスプロケット部分でなければ、
残るはセルモーター部分しかありません。


セルモーターのオイルシールとセルモーターギヤ部のガスケットを交換すれば直ります。
見えにくい場所なので車体を右に傾けると作業しやすいと思います。


最初にエンジンオイルをすべて抜き去ります。
左クランクケースカバーを外し、チェンジシャフト下の楕円カバーのボルト6本を外します。
プラハンで叩きながらこのカバーを外してください。


次にセルモーターの取り付けボルトを外し、セルモーターを取り外します。
セルモーターが入っていた部分にオイルシールが見えると思います。
これを交換すれば終了です。楕円カバーのガスケットも交換して下さい。


セルモーター/クランクケースオイルシール ¥1000
セルモーターシャフトオイルシール      ¥1000
セルモーターギヤ楕円カバーガスケット   ¥600 

ニュース一覧へ