Q: TX750 ケッチンが来ます
2007-07-30  質問者:山本さん
以前TX650にSRのメーターを付けた山本です。電球類の束ねってあった配線を1本づつに分割したところ、ライトスイッチと連動するようになりました。ありがとうございました。
さて、もう1台TX750の右クランクケースカバーを開けて閉めたのですが、それ以来ケッチンが来るようになり怖くてエンジンの始動ができません。キックアームの納めかたとケッチンは関係があるのでしょうか? ポイントを少し遅らせましたが、左右どちらのシリンダーからもケッチンが来ます。
A:お答えします
こんにちは。


ケッチンの原因は2つあります。1)点火時期の早すぎ 2)キック終了時のピストン位置 です。
今回は2)の原因でケッチンが出るようになったと思われます。


解りやすいようにシングルのエンジンで説明しますね。
エンジンを停止させた時のピストン位置って、常に同じだって皆さん知ってますか?


スイッチOFFで火が飛ばなくなり、爆発しません。ただエンジンは惰性で回り続けようとします。
ブレーキがかかるのは、そうです、圧縮上死点前です。


クランクウェブの一番重い所はどこでしょう?クランクピンの反対側ですよね。
ピストンは圧縮行程の上がろうとした中間地点あたりで止まってしまい、


クランクウェブは重さをかけて、ピストンを押し上げる方向に働きます。
加えて、カムとバルブの位置関係で、バルブスプリングの反発が無い位置に止まります。


と言う事はこれらの調和が取れた位置(圧縮上死点前)に、ピストンは常に止まります。
そして、始動時はデコンプで圧を抜き、圧縮上死点にクランク位置を持っていきます。


この位置からイッキにキックを踏み込む事が、一番勢い良くクランクを回せます。
爆発行程、排気行程、吸入行程とストレスがかからず、圧縮の山を越えられるのです。


それではキックの踏み込みが弱いとどうなるでしょう?
爆発行程、排気行程、吸入行程と進み、圧縮行程で息切れ、頂上の手前で止まりそう・・・


そこに火花が飛び、爆発が起こります。ピストンは頂上を超えずに逆回転・・・・・・・・・
これが「ケッチン」の正体です。


以前英国車を販売していた頃、ユーザーに口を酸っぱくして言ったことは・・・・・・
キックを踏みきりなさい!最後まで踏みきらないと絶対「ケッチン」が起きますよ!


それと同じ事がキックギヤの取付にも言えます。
1回の踏み降ろしで、確実に次の圧縮行程の山を乗り越えなければなりません。


有効なギヤ歯設定が少ないと、思いっきり踏みこんでも、そこまで力が届かないんです。
以上の事を念頭に置き、再度組み立てなおしてみて下さい。


アールプロ門倉

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