Q: ヤマハ180CS2Eのメインスイッチの「応急起動」位置
2014-05-20  質問者:ふじおかさん
ヤマハ 180CS2Eのメインキーの位置「応急起動」について。このバイクのキーを差し込むメインスイッチは停止位置、走行位置、「応急起動」位置、駐車位置の4段階になっているようですが、カタログには応急起動位置の際に押しがけにて始動と書いてあります。これはどのような状態の時に使う機能なのでしょうか?(バッテリー上がりの時とは思うのですが、通常の「走行」位置で押しがけではダメなのでしょうか)、この位置の場合どのような回路の構成になるのか?(簡単にで結構です)、教えていただけませんでしょうか?

実は同年代のヤマハ250DS6を現在所有しているのですが、このバイクも応急起動位置と思われるメインスイッチの位置があります、元々この位置が何だか分からず先日たまたま180CS2Eのカタログを見てみたところ、上記のような記述があり判明しました。
ネット上にDS6はこの位置にすると点火方式がバッテリー点火からマグネトー点火にかわる…といった記述があります。点火方式が変わる?何かの間違いかと思うのですが、この「応急」位置はそれに近い機能なのでしょうか?

それからいくつも失礼致しますが、DS6用のポイントはRプロさんのほうではお取り扱いはないのでしょうか?DX250(DS7)用はあるようなのですが…
A:お答えします
お問い合わせありがとうございました。


1950年代、60年代の国産車は、まだまだ英国車やドイツ車の影響が多数見受けられます!
60年代には既に世界一の技術力を持っているんですが、こういう所はまだ外車のまねですね。


このエマージェンシー点火システムは、たぶん英国のLUCAS社が最初だと思います。
英国のTriumphやBSAは60年代初めに、点火方式がマグネトーからバッテリーに変わります。


弱いキック力でもバッテリー点火の方が、格段に始動性が良い事が大きなメリットです。
また、アイドリング回転数を極端に下げても、エンジンは安定して回ってくれます!


ただ、唯一の不安はバッテリーが上がってしまうと、エンジンが始動困難となる事です!
そこで考えられたのが、エマージェンシー点火システムなんです!


バッテリー点火の場合、IGコイルが作る火花の、大元のエネルギーはバッテリー電源です。
この電源が枯れてしまえば、絶対に火花は作れません!!


それでは他に電源はないだろうかと考えると、エンジンを回転させれば交流発電機から、
十数ボルトの電流が流れてきます。本来はこれを整流してバッテリーを充電しますが、


バッテリーを介さずに直接IGコイルに流してやれば、火花が作れると考えたんです!
これがエマージェンシー点火システムで、言い変えればマグネトー点火に変わった訳です。


ただし、このシステムでキック始動を試みると、Triumphの場合はほとんど始動できません!
説明にある通り、押しがけである程度の距離を押す必要があると思います。


もうお解かりと思いますが、メインスイッチ「走行」の位置では、発生した電流が
空のバッテリーに繋がり、充電電流を食ってしまうので、IGコイルまでは届きません!!


「応急起動」位置で初めて発電機とIGコイルが直結となり、火花が作り出せる訳です。
DS6のポイントは残念ながら、今後も入荷予定はございません。

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